M&A仲介業界の将来性

経営者の高齢化に伴う後継者不在問題から、事業承継型のM&Aが増加傾向にあります。また、企業のグローバル化においても、M&Aを実行するケースが増えています。ここでは、M&A業界の将来性について紹介しています。

急増するM&A仲介業界への依頼

国も後押しするM&Aによる事業承継

社会問題の一つにもなっている後継者問題は、単に継ぐ子どもがいないだけでなく、経営者に子どもがいても子の意思で引き継かないケースや先の見通しがつかないことから子に事業を引き継がせないケースなど、その背景はさまざまです。

そうした現状を改善するため、国は中小M&A推進計画や事業引継ぎガイドラインなどを打ち出すなど、M&Aによる事業承継支援をおこなっています。国も後押ししていることからも、M&A仲介業界への注目は高まっており、そのニーズの高さからM&A仲介企業のベンチャー企業が増加しているほどです。

大手企業同士でのM&Aでは、同業他社が合併する大型水平統合形式が多く、最近ではその数は減っています。逆に中小企業間でのM&Aが目立っています。少子高齢化による人材不足や後継者問題などで、今後も増加するのではないかと考えられています。

国内から海外へのM&A

日本市場以外での事業規模の拡大として、海外企業を買収するM&Aも増えています。企業のグローバル化として積極的に海外に事業展開をはかるケースはもちろん、成長余地が見られる企業では経営状態を改善するため海外に活路を見出すケースなどさまざまです。

M&A件数が増加傾向にある理由

公的機関の後押しがある

M&Aが増加している理由には、中小企業の後継者問題や企業のグローバル化だけでなく、アドバイザリーをおこなう企業や公的機関が増えてきたことも挙げられます。

M&Aというと、以前は大企業を顧客にしているイメージが強かったですが、現在は中小企業を対象とした提案をおこなうアドバイザリー企業が増加しています。中小企業庁が創設したM&A支援機関登録制度には、数千といったM&Aアドバイザリー企業が登録されているほどです。

また、中小企業庁は中小企業や小規模事業者のM&Aを支援しており、全国に事業引継ぎ相談窓口と、需要が高い地域には事業引継ぎ支援センターを設置しています。こうした公的機関による支援の充実が、M&A会社と民間企業の距離を縮めているといえます。

法改正でM&Aが実行しやすくなった

近年、株式交付制度が新設され、2021年3月からその大部分が施行されました。通常では現金での支払いが必要になりますが、株式交付制度では株式で支払うため現金の用意が不要^(※)。そのため、従来よりもM&Aが実行しやすくなることが期待されています。

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